2008年 02月 26日
[詩] やがて緑色の夏が来て (エスキス) |
何もお告げは
ありませんでした でも
この木とあの木は
隣に立っていたほうが
いいと思いました
戸が開いて
あなたが出てきたとき
わたしはそう思ったのです
雲の影がよぎり
もう昼と夜が
戻らなくなってからも
ここではなくとおい
場所のことを
かんがえていたいと思いました
角を曲がると どこか
知らない部屋 そのことに
誘われたたくさんの
人の背中
海の上にとてもとても
あかるい光
水を求めても
何もない
石だらけの河原 そこから
たち昇る、焼けただれた
母のにおい
やがて緑色の夏が来て
たたかいが夢のようにはじまり
矢がいっせいに放たれ
あつい風がいちどきに吹いて
わたしのくろい髪が
枝となり
幹となって
たましいと呼ばれたものが
ふたたびそこに憩うまでに
うちの裏手の斜面。ここはまもなく工事がはじまり、コンクリートで固められる。
by stcl
| 2008-02-26 18:50
| 詩/collaboration