2007年 12月 27日
[詩] この雲も、嵐も |
ずっとむかし
いちどきに
通り過ぎたもの そのあとで
木叢にゆっくりと
降り注いだもの
まだふたりが根の浅い
夜だったころ
水面はあなたの息に誘われて
くろぐろと波うっていました
それはずっと
ずっとむかし
空に焼き付いた光 それは
とてもとても明るかったから
わたしたちは眼を
うしなうことにしました
そして小匣に入れたものを
もういちど思い返してみました
子どもの歯が三本
入っていただけ あの
なつかしい恐ろしさは
もうすでに
尽くされていました
わたしに
たくさんの
たましいをください
わだつみのむこうで安らっているものを
揺り起こして
この雲も
嵐も
わたしが呼んだのです
それはずっと
ずっとむかし
夜の後ろで
ちいさく壊れたもの
あの時、土を枯らし
すべての鳥を啼かせたのは
わたしだったから
どうしても
そうしたかったから
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流木、由比ガ浜にて。リエちゃんとビーチコーミングしたときに撮ったもの。下はネガティヴ。
by stcl
| 2007-12-27 13:32
| 詩/collaboration